2002
【2002年】
主将
第24期 須藤淳
第26期入部
安宅祥晃 臨床心理 LB #53
独自の倫理観を持つ道産子のお坊ちゃま。
飯塚大輔 人間科学 QB #13
人間的に成長するのと同時に横にもドンドンでかくなった原人の里の使者
今県民守る人
田中伸幸 中国文学→英米文学 DL #69
なんだかよくわからない地元の人間 今国守る人
平田竜太 日本文学 TE #89
背の高い九州男児
多田みゆき 人間科学 STUFF /Maneger
怖いもの知らずってゆうか本人が恐い。太めQBと同郷 今サイバーなCM作る人
坂庭美緒 人間科学 STAFF /Analyzing
26期中唯一まともな癒し系 今お年寄り見守る人
今泉靖子 人間科学 STAFF /Trainar 見た目と違う!超天然おねいさん。川になりたいらしい 今心理を深く勉強する人
以上文責26期田中
昨年の悔しいシーズンを終了しまして、新しい年度、平成14年度の体制が発足します。
12月の終わりに新キャプテン、現コーチの須藤淳のアパートで幹部ミーティングが開かれました。議題は今シーズンの目標です。須藤は昨年の春に交通事故で大怪我を負ってしまったQB太田将史の代員として自分から名乗りをあげ、2年生春に一からQBとして再スターとし、秋には大活躍しました。太田が怪我をし、誰がQBをやるかというミーティングが昨年度の3月に行なわれまして、まあ当然のことながら非常に重苦しい空気の中で行なわれたんですが、その空気を打ち破るように須藤が名乗りをあげてくれました。
昨シーズンのオーディンは、一年間エリアリーグでやって3部に復帰できなかった訳でして、それを踏まえて3部に昇格するチームを作るには、
「俺達は本当は3部にいるべきチームなんだ」
という、ある意味過去の栄光にすがっているチームではダメで、
「3部に挑戦する」という、「挑戦者としての再出発」が求められていました。
そこで、昨年度の須藤の、そうした立候補精神といいますか、フロンティアスピリットがチーム全体に必要にだと思われまして、須藤をキャプテンに抜擢しました。
選手としての実力は高橋、斉藤、萩原の4年生のアスリートトリオには遠く及ばず、人間的にも4年生の3人の方が安定感があったのですが、挑戦者精神・自己犠牲精神がチームの中でずば抜けているということで須藤が3年生としてキャプテンになりました。
先輩に対してリーダーシップを発揮しなければならない須藤のプレッシャーは相当な物があったでしょうし、代を取れなかった4年生にも複雑な思いがあったかもしれません。
しかし、そうした個人の感情を乗り越えて皆チームのために尽力してくれました。
特に4年生は若い須藤を、兄貴分として本当によく支えてくれました。
試合後のハドルで「福田さんはあっちに行っていて下さい!」と私を追い出し、ハドルで後輩に向けて熱い思いを語っていた斉藤や、最終戦で須藤が怪我したときに須藤に代わってハドルをまとめた高橋の姿は今でも忘れられません。
また、萩原は私のことを「福ちゃん」と呼ぶ最後の選手でした。多少大らかな面もありましたが、大型フットボーラーらしい大物振りを発揮していた選手でした。
さて、この日のミーティングの議題、今シーズンの目標を何にするかということなのですが、現在のオーディンではチームの目標は全員で考えますでしょうが、私の考えとしては、チームの哲学が成熟されていないうちは、チーム全員で考えるよりも幹部主導で行なった方が良い結果が出ると思っています。
で、そういう幹部主導の運営を行ないますと、自分の考えを持った者は必ず不満に思うものです。
そこで、不満に思い、こちらに自己主張してきた者はどんどん幹部に登用する。そういうスタンスを一貫して取ってまいりました。
ですので、自分の考えがあっても自己主張できない学生にとっては嫌なコーチだったかもしれません。
ですけれども、挑戦者としてやっていくチームにおきましては、考えを持っていても自己主張できない人間は往々にして責任も取らないものです。
ですから、厳しい言い方かもしれませんが、そんな考えは捨てるか、もっと熟成させて主張してくれと言いたいです。
話が逸れましたが、このミーティングは非常に意見が割れました。
目標の候補になったのが「3部昇格」「3部復帰」「3部挑戦」の3つでした。
この内、「3部挑戦」というのは確かに挑戦者としての気持ちは大切ですけれども、3、4年生、つまりチームの大半は3部を経験しておりましたので、目標としてあまりピンと来ないという理由で却下されました。
で、残った「3部昇格」と「3部復帰」で意見が割れます。
意見が割れたと言いましてもそれぞれに確固とした決め手がなく、時間がどんどん過ぎていきます。
実はこの時点で、私の頭の中には既に今年の目標を考えてあったのですが、学生にもう少し考えさせました。
…10分…15分…それぞれの今年のチームに対する思いを熱く語りますがまとまりません。そこで、皆が自分の思いを語りつくした頃を見計らって、私は口火を切りました。
「じゃあ、意見が出ないのなら俺が提案するよ。その代わり俺は絶対お前らが納得する目標を準備してあるから、俺に提案させたら絶対お前ら飲むことになるぞ。それでもいいか?」
「いや、福田さん待って下さい。うちらで考えます。」
須藤が慌てて止めます。フロンティアスピリッツ旺盛な須藤はコーチの手を借り過ぎることは自分のためにならないと考えていますので、何事も極力自分達でやろうとします。そしてまた…10分…15分…
「須藤、意見がまとまらないから俺が言うぞ。いいか?」
「ちょっと待って下さい。もう少し時間下さい。」
もうかれこれ1時間は経とうとしていました。
「だってお前ら、意見まとまらないじゃないか。もういいだろ?」
「じゃあ、福田さんが言った意見がもし気に入らなかったら、変えてもいいですよね」
私は、コーチ専制のチームを敷くことは学生の主体性をなくし、かえってチームを弱体化させると考えています。ですので、普段から、「教育的配慮」ではなく「チームを強くするために」学生の意見を尊重するようにしています。須藤はその辺のこともよく理解していたので、何とか自分の意見を搾り出そうと必死です。
「もちろんいいよ。ただ俺の意見より上回る物は出ないよ。お前らの中で俺が一番オーディンのことを考えているから。」
「そうっすかね。じゃあ言って下さい。」
「今シーズンの目標は…」
「何ですか?」
「打倒、江戸川大学!」
「え!?」
シーズンの目標というのは一年間のチームの方向性を決定するものなので、もっと包括的な目標にするのが一般的です。
一年間を通してただ一つのチームを倒すことだけに取り組む。これは今までのオーディンにはなかった観念でありました。
「でも、福田さん。3部には上がらなくていいんですか?」
「お前ら、頭の中を真っ白にして本音で考えてみろよ。3部に上がることと、江戸川を倒すことのどっちがしたいことだ?去年あんな形で力出し切れずにシーズン終わって、江戸川に勝ちたくないんか?」
その言葉を聞いた瞬間、須藤、高橋、斉藤、田村、幹部4人の目はギラッと光り、ショルダーを付けたフットボーラーの目になりました。
「いいか、打倒!江戸川!っていうのはただ単に点差だけで江戸川に勝つことじゃない。気持ち・技術・体力・チーム力の全てにおいて江戸川を上回るっていうことだ。そうすれば3部は後から付いてくるだろ?どうだ!江戸川に勝ちたいだろ?これ以上の目標、他にあるか?」
「それで行きましょう!」
これが、今だからこそ明かすことのできる「打倒、江戸川大学」のいきさつであります。
今までのオーディンはどちらかと言えばいい意味でも悪い意味でも人が良く、負けてもあまり悔しがらない、しかも負けた悔しさもすぐに忘れてしまう選手・スタッフが多かったのですが、この日を境にチームは「悔しい」という思いを共有して1つにまとまるチームになりました。チームのハドルを円陣からアーミー式(リーダーの方に体を向ける現在のスタイル)に変えたのもこの年です。2年前は個人個人のチーム、昨年は1つの円になってお互いを見つめ合うチーム、そしてこの年は1つになって同じ方向を向くチームになりました。そして、その方向こそが「江戸川大学」、そしてその向こうにある「3部昇格」だったのです。
シーズン中の練習も今までにない厳しい雰囲気で行なわれました。
それはある意味で下克上精神といいますか、一種殺伐とした面もありました。
その殺伐さが「人間愛」を基調とします文教大学の校風に合わず、批判的なお叱りも頂戴しました。
ただ、この年はどうしても「仲良しチーム」からの脱却。臥薪嘗胆の精神といいますか、チームとして「負けて悔しがることをバネにする力」を身に付けさせたいという信念がありましたので、多少の無作法には目をつむることにしました。
人間、コンプレックスのあるうちは本当の意味で優しくはなれないと思うのですが、この一年は「希望」より「雪辱」を第一に考えました。
ただ、私の頭の中には、春の段階から「江戸川に勝った後のチーム像」がありました。それは、江戸川に勝つことにより、自分達の手で自分達の誇りを取り戻し、真に「自信」と「優しさ」のあるチーム。そういうチームに育つだろうという確信がありました。
ところが、そうこちらの思惑通りにことが進まないのが競技スポーツです。この年はオーディンがエリアリーグでオプションを使用してから2年目に当たり、対戦相手の研究が進み、思うようにゲインできなくなりました。
ただ、これもある程度は予想していたので、得点力を上げるためにトライフォーポイント時に「スイングゲート」(ロンリーセンターとも言う)を用いて毎回2ポイントコンバージョンを狙うという独自の取り組みも行いました。
ところがこれが大誤算で、帝平戦で12対12の引き分け。千葉大戦で12対13の敗戦を記してしまいます。
つまり2本ずつタッチダウンをとっていたのですが、両方とも「ツーポイントコンバージョン」が決まらずに、勝てる試合を落としてしまったのです。
この年のオーディンは、「打倒!江戸川!」の勇ましい目標を掲げ、また、キャプテンの須藤の性格が良く反映されて、非常に明るく活気があるチームだったのですが、悪く言えば気持ち先行の面もありました。
自分も含めて、「何とかなるんじゃないか」といったムード。
よく言えば大らかで伸び伸びしていたのですが、詰めの甘さが欠点で、肝心な所でチームの悪い面が出てしまいました。
そして1勝1敗1分けで迎えた最終戦の江戸川戦を迎えます。結果は14対6で勝利し、堂々と昨年の雪辱を果たしました。点差こそ一本差でしたが、しっかりとボールコントロールし、(このシーズンはレシーバーの人材不足、QB須藤が経験不足・身長不足(失礼!)ということで、パスをほとんど封印したTEパワーIをベースとしたオフェンスでした。
プレーもダイブ中心で組み立てていましたので、ロースコアのボールコントロールオフェンスはシーズン当初からの狙いではありました。)
内容的には完勝でした。
しかし、1年間「打倒!江戸川!」の目標を掲げて取り組んできましたが、終わって雪辱を果たしてみれば、3部に行けなかったことの方がやはり大きく感じられ、最終戦にも関わらず、チームの視線は早くも来シーズンに向いていました。
そして、敗戦した恨みを基本にチーム運営に取り組んでも良い結果が出るものではなく、失敗は失敗として自分達にその責任を認め、地に足を付けていくことを、チームとして一年間を通して学びました。
しかし、そうしたことを学べたのも今にして思えばライバルがあればこそで、昨年の江戸川戦の敗戦から1年後の雪辱まで、1日たりとも江戸川大学の存在を意識しなかったことはなかったんですが、逆に言えば江戸川を意識することがチームの支えになり、その支えによってチームの、特に精神面が成長したとも言えます。ライバルの存在と、この、ある意味で禊ぎ(みそぎ)のシーズンに殉じた4年生の存在が今のオーディンのバックボーンになっていることに感謝します。
1年前の敗戦、そしてこの日の雪辱は、体調管理における自己責任の徹底や、1年生の教育の徹底といった今のチームの基本、当たり前ともなっているモラル・風土を育んでくれました。
文責:福田
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