鋼錬Fire
Fire
何もかも終ったんだ。
今はまだ、自由に飛べないけれど、近いうちに必ず飛べる。
でも、飛ぶ時は今じゃない。
だから羽根を休めて。
ゆっくり、眠って…。
真っ黒な視界。
その向こうに、金色の流れ。
目を凝らすと、黒いものは己の髪で、金色のものは他人の髪だと分かった。
むくりと起き上がると、一面花畑。
およそ自分には不釣合いな場所だ。
思わず唇を歪めた。
「………。」
立ち上がり、歩こうとして思い留まる。
のどかだった。
青空に白い雲がふわふわと浮かび、時折小鳥が飛んでいく。
野原には色とりどりの花が咲き乱れ、蝶や蜜蜂が働いている。
ゆっくりと流れる時間を、身体で感じることができる。
ゆっくりと。
「……ふぅ…」
小さな溜息と共に、黒髪の青年は花の毛布に倒れた。
真上に存在する空が、ぐっと広く感じる。
今まで知らなかったもの。
空が広いということ。
世界がここまで広いということ。
「んん……」
人を、愛するということ。
それまで向かい合って眠っていた少年が、温もりを失ってか身じろいだ。
黒髪の青年は、そっと近寄る。
「…エン…ヴィー……」
「……ん?」
胸に頭を抱えると、少年は黙り込んだ。
再び聞こえた寝息に、エンヴィーも眠気を誘われる。
「エド…おやすみ…」
流れる時間は優しかった。
エンヴィーの罪を、ゆっくりと流していくようだった。
エドは、己の罪に押し潰されそうなエンヴィーを支えてくれる。
ずっと、ずっと。
あの日から、辛くてたまらなかった。
どこをどう歩いても。
どんなに怒り狂っても泣き叫んでも。
辛かった。
嫉妬から生まれた己を怨んだ。
生んだ人間を怨んだ。
何よりも、存在する世界と幸せそうな人間を怨んだ。
けれど、今は違う。
「…エドは優しいな…」
存在を認めてくれる人がいる。
『エンヴィー』を個性として認めてくれる人がいる。
それだけで、いい。
他には何も望まない。
望むとすれば、
それはエドとの永遠の時間。
エドの存在。
愛し、愛されること。
今は飛べなくていいんだ。
休む時だから。
飛べないわけじゃない。
焦る必要はない。
だって翼は折れていないから。
「飛べるよ……きっと…」
ふたりなら。
自分を認められるまで、
傷が癒えるまで、
少し時間はかかるけど。
待っていて欲しい。
君となら、飛べる。
++++++++++++++++++++++++++++++
なんでエンヴィー?
って思った人も多いかなぁ、と思います。
何故って、愛です。愛ですよ…(遠い目)。
エンヴィーは見れば見るほど哀れだったので、せめて私の妄想の世界では幸せな時間をエドと共有して欲しいなぁと思いました。
エドと一緒の理由は、彼はひとりでは歩いていけそうにないからです。
この小説を書いた理由は自分への励まし半分です。
最近、ずっと小さい頃からの夢を諦めそうになっているので。
でも、夢をかなえるために必要な物は持っているんですよ。
手があるし、考える頭もあるし、モノを見る目もあるんです。
あるのに諦めるのは、それらを失うことと変わりないような気もします。
だから、『頑張れよ自分(泣)』ということで。
少しでも、誰かの励ましになればいいと思います。
では。
ご意見・ご感想等は以下まで。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないwikiに表示されています。 新しい記事を書く事で広告が消せます