オリジ夏日夜番外編2
夏日夜
庭先で蝉が鳴いていた。
こんな時期に、と思いながら、快は庭の落ち葉を掃いていく。
11月にもなると、ほとんどの木々が葉を散らし始める。
竹箒を握り締めて、快は高い空を見やった。次いで、庭木を眺める。
一見どこにも蝉の姿はなかった。
大した興味を抱いたわけでもなく、快はあっさりと蝉を諦め、落ち葉の山を崩しながら庭の奥へ消えていった。
崩された落ち葉は庭の中央に運ばれ、今度は他の落ち葉と共に大きな山になる。その傍らで、薪がぱちぱちと爆ぜていた。
大小様々な薪は、炎の中で透明な赤色を生んだ。
空に昇る煙はきれいな雪色で、白猫に見送られている。
猫の横には、ざるに乗せられた川魚があった。
家の前に流れる清流から、快が釣ってきたものだ。
どれも大きく肥えていた。
猫は塩焼きにされた状態の美味しさを知っているのか、生の魚に見向きもしない。一瞥をくれた快に、澄ました目線を返す。
それを微笑ましく見守って、夏樹は焚き火の傍に立っていた。
その姿に快が気づくことはない。
透明度の低い煙が、風に流された。
夜闇の中に秋虫の声が澄んで響いていた。
それまでは開いたままにしていた縁側の戸も、今は冷気を遮断するために閉じられている。
縁側に面した畳の間で、快は猫を腹に抱えて眠っていた。
それを、枕もとに正座した夏樹がじっと見つめている。
ほの白く浮かぶ白地の浴衣に、まるで穴が空いているように大輪の朝顔が散っていた。
細い指が伸びて、快の前髪に触れようと動く。
その指はしかし、快に触れることもなく毛布に触れてしまう。
夏樹の指は生者に触れることができない。
噛み締めた唇から、嗚咽が漏れた。
日に日に空が高くなっていく。
周囲の山々は見渡す限りに紅で、常緑樹だけがやけに目立った。
快の目の前を、力なく蝶が飛んでいった。
それを追って見上げた庭木には、もう葉が少ない。
快は竹箒を握り締めた。
今回が、今年最後の落ち葉掃除になりそうだった。
季節が過ぎていくことが、とても憂鬱に感じられる。
時間の経過と共に夏樹が遠く離れていくようで、何かが痛い。
縁側に置いたラジオが、初雪が近いことを告げていた。
電波の入りが、悪い。
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寒いです・・・。
季節感たっぷりすぎて寒気がしてます。
最後までお付き合いしてくださいませ(汗)。
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